海洋プラスチックゴミにからまるウミガメ~実例~
近頃、海洋ゴミや海洋生物への関心が高まっていると感じています。テレビやネットでも頻繁に取り上げられるようになりました。
海洋環境に多くの人達が目を向けるようになってくれたことは、ELNAとしては良いことだと思う反面・・・やや間違った情報が認識されているという事実もあります。
たとえば、「ウミガメは、ゴミがお腹につまって死んでいるのですよね?かわいそうですね・・」と、イベントに出店するとよく言われます。しかし、ELNAの調査によると・・・ゴミが喉や内臓にゴミがつまってウミガメが死ぬのはとっても稀なことです。
以下、参考まで。
ウミガメはビニール袋を食べて死んでいるの??調査でわかること
さて、他の影響として、ウミガメがプラスチックにからまってしまうというのがあります。実際、プラスチックにからまるウミガメはどれぐらいいるのでしょうか?
◆生きていた実例1
たとえば、最近ではこんなことがありました。
2017年に小笠原海洋センター(小笠原事業所)で保護されたウミガメです。大量の漁網を背負っていました(その時の様子は海洋センターHPにて)
このウミガメは運良く海洋センターで保護されましたが、もしこの状態のまま海を漂っていたら、どうなっていたことか・・・その後、傷も癒えたところで無事に海へと放流されました(漁網には気を付けるのだよ!)。
◆生きていた実例2
こちらは2014年、同じく小笠原です。海で浮いているところを発見されました。ビールケースに挟まってしまい、出られなくなってしまったウミガメです。
こんな過酷な状態でも力をふりしぼり、なんとか頑張って泳いでいたのでしょう・・・
甲羅をゴシゴシ・・・
海洋センターで保護され、放流されました(もう変なところに頭をつっこまないようにね!)。
◆死亡漂着の実例
ELNAは年間100頭ものウミガメの漂着個体を調査しているのですが、漁網に入ってしまい、そのまま息絶えたウミガメもいました。
プラスチックにからまってしまうと、自由に移動ができない、窒息する、皮膚が傷つく、などウミガメに悪影響を与えます。
では、プラスチックゴミにからまって死んでしまったウミガメはどれぐらいいるのでしょうか?
ELNAの2004年~2017年12月の1,502頭のウミガメ調査(死亡漂着or混獲)によると・・・5 /1,502頭 でした。
ただ、今年の8月に、300匹のウミガメが漁網にからまっているところを発見されるというニュースもありました。ここまで大量に絡まるのはまれなケースかと思いますが、漁網が海洋生物に影響を与えることがあります。(ナショナルジオグラフィック「絶滅危惧種のヒメウミガメ 漁網に絡まって犠牲に」)
◆さいごに
ウミガメの減少の直接の原因・・・となると、混獲、乱獲、産卵できる砂浜の減少などの方がプラスチックよりもウミガメにとっては脅威です。とは言え、プラスチックにからまってしまうウミガメも少なからずいますし、プラスチックの誤飲が稚ガメへ影響する可能性も否定できません。
ELNAとしても、海洋プラスチックゴミに関する今後の動向に注目して行こうと思います。
横浜事業所 岩井
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