千葉県から放流したアカウミガメが7年後に屋久島で産卵確認!

Pocket

2017年に千葉県で生存混獲され、ELNAが標識を装着して放流したアカウミガメが7年後の2024年に屋久島で産卵確認されました!
千葉県から放流した時は、その甲長サイズから未成熟と推定されます。(関東では70-74.9cmサイズは97.2% (n=250) が未成熟個体です※ELNAデータより)
未成熟個体が成熟して再捕獲される事例は少なく、非常に貴重なデータとなりました。

=====
今回の情報
2017/4/17 千葉県混獲→翌18日、再度混獲されないよう定置網が少ない場所(南房総市)に運搬し放流 甲長71.8cm(エバーラスティング・ネイチャー/ELNA)
2024/7/05 鹿児島県(屋久島)で産卵上陸 甲長82.7cm(日本ウミガメ協議会 屋久島支部)
=====

■アカウミガメ生態の謎
北太平洋に生息するアカウミガメは日本が産卵地とされており、ふ化して巣立った子ガメは広く太平洋を横断して甲羅のサイズが60cmくらいになると日本沿岸に戻ってくると言われています。
今回の再捕獲事例は、日本のアカウミガメに関する下記2つの謎の解明に関わってきます。
Q1.日本近海に未成熟で戻ってきた個体は何年で成熟するのか?
Q2.アカウミガメの成熟年齢はいくつなのか?
※ウミガメの成熟年齢は推定値が多いです。さまざまな手法で分析され、より確実な数値を算出する必要があります

今回の事例では、約7年後に10.9cm成長していました(=年間1.5cm成長)。
甲羅の成長速度が仮に60cm以降同じだと仮定すると、今回の個体は約14年間日本周辺の餌場で過ごした後、繁殖に参加したことが分かります。
また、成熟年齢については60cmで10歳であった事例から算出すると、今回の個体は10年+14年=24年くらいと推定されます。

ウミガメの成長速度は甲長サイズによって変化していくものですし、今回の事例も60cmで10歳の事例もあくまで1つの事例であります。そのため、あくまで大まかな目安ではあります。今後多くのデータや事例が集まって来ることによってより精度の高い数値が明らかになっていくでしょう。

なお、ウミガメ混獲調査は千葉県の漁師さんに日頃からご協力いただいているおかげで今回のことが解明されました。ここに改めて感謝申し上げます。

関連記事

  1. 【論文】成熟ガメの鼻の組織論文、公表しました!
  2. タイマイ活動地は4ヵ所とも違う個体群であることが明らかに!
  3. 殺鼠剤のアオウミガメへの影響に関する論文
  4. 小笠原のアオウミガメの体内にいる寄生虫に関する論文
  5. 写真によるウミガメの個体識別は異なる環境下でも正確か?(論文)
  6. アラフラ海の索餌地域でのヒメウミガメの高水温海域における長期潜水…
  7. ウミガメの鼻腔内に3つの嗅覚受容機構を発見 ~空気中と水中のにお…
  8. 『海洋と生物』にマイクロプラスチックに関する記事掲載
PAGE TOP