絶滅危惧種アオウミガメ保全活動報告2018 (伊藤忠商事(株)様ご支援)
エバーラスティング・ネイチャーでは、小笠原海洋センターで行うアオウミガメの保全事業に対して、伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区北青山2丁目5番1号)様より2017年より継続してご支援を受けております。2018年8月には、社員様およびそのご家族様参加による「アオウミガメ保全ツアー」が開催され、全社を挙げてのアオウミガメ保全への取り組みはますます活発化しております。
ここでは、支援対象となっておりますアオウミガメ産卵巣数モニタリング調査とふ化後調査の結果概要について、ご報告いたします。
生物多様性の中でのアオウミガメの存在意義および2017年の伊藤忠商事様支援事業の結果については、こちらをご覧ください。
産卵モニタリング調査および
ふ化後調査の結果概要
調査概要
父島列島の約30海岸、母島列島の約10海岸、聟島列島の約10海岸を対象に定期的に海岸踏査し、各産卵状況をモニタリング調査しました。小笠原諸島におけるアオウミガメの2018年の初産卵は、2017年とほぼ同時期の4月20日前後に確認されました。最終産卵は、2017年よりも約1か月遅い9月20日前後に確認され、その間の約5か月間、合計約50海岸で調査が実施されました。その後、卵のふ化を待って、モニタリング調査時の位置情報をもとに再び海岸に赴き、ふ化状況を確認するために卵の掘り出し調査を実施しました。ウミガメのふ化は産卵から約2か月かかりますが、ふ化した順に掘り出し調査を進め、11月下旬にすべての調査が完了しました。延べ調査回数は280回となり、それに費やした調査人員は延べ1,078人となりました。
調査結果
未公表データであるため、数値は概数で報告いたします。
2018年は、父島列島で約1,800巣、母島列島で約500巣、聟島列島で約30巣のアオウミガメ産卵巣が確認できました。2017年と比較すると、母島列島では微増となりましたが(前年比102%)、父島列島および聟島で減少となり(前年比約80%、約70%)、2016年から2年続けての減少となりました。ただし、2015年と比較すると、父島列島および母島列島では増加しており、小笠原のアオウミガメの増加傾向は継続していると推測されました。合計約1,200巣に対して、ふ化後のふ化率調査を実施したところ、父島列島では約55,000頭の子ガメが海に帰っていったと推測されました(母島列島および聟島列島では、ふ化率データが不十分なため算出不可)。理論的な脱出率(卵数に占める脱出子ガメの割合)は、父島列島で約25%となり、以前として、卵の発生途中で死亡したり、他の生物の食害を受けたりして、ふ化しない卵が多く、産卵巣数に比して無事にふ化して海に帰っていく子ガメがあまり多くない状況となっています。