プロローグ~オサガメ保全キャンペーン その1~
こんにちは、エバーラスティング・ネイチャー(ELNA:エルナ)の菅沼です。【オサガメを一緒に増やしましょう】オサガメ保全キャンペーンということで、今後はオサガメ保全に関するコラムを定期的に発信していこうと思います。今日はその第一弾のコラムとなります。
これまでELNAは、モニタリング調査を中心に保全活動を行ってきましたが、世界のウミガメの繁殖状況をみていると、人による保護活動や研究活動がウミガメを減少させている可能性が見えてきました。ELNAの過去の調査をみても、産卵阻害を行っていたと考えられることも浮き彫りになってきました。特に、オサガメに関してその影響は顕著です。
ライトを消して海岸を歩いていると、産卵のために上陸したばかりのオサガメの産卵雌ガメが、途中で引き返す場面に何回か遭遇しました。標識を装着するために海岸を歩いていたのですが、この産卵阻害を、身をもって知るのに15年もかかりました。調査のため、研究のため、ウミガメ保全という名目に、自分自身を勝手に正当化していることに気づき愕然とした思いがありました。2014年2月のことでした。それ以降、オサガメの夜間パトロールや標識放流は一切行っていません。
今回、オサガメ保全キャンペーンを始めるきっかけとなったのは、本格的にオサガメの保全をするには、かなり積極的かつ具体的な調査や研究が必要だと実感したからです。ELNAは昨年、文部科学省の研究機関として登録されました。国の予算をウミガメ保全に使える立場となったのですが、現実的には研究者としての実績や研究申請が通るほどの研究内容の積み重ねは、まだまだありません。反面、ELNAが管理しているパプアの海岸でみられるオサガメの繁殖数は20年前の10分の1と激減しています。そのためには、保護だとか保全だとかという名目の前に、なぜ減少したかを学術的に証明する必要が迫られています。
太平洋のオサガメの4大繁殖地、マレーシアのオサガメは2000年に絶滅、メキシコ・コスタリカのオサガメはかつて1万巣ほどあったものが、現在で両者あわせても10巣にも達していません。現在ELNAが関わっているパプアのワルマンディ海岸では、20年前の10分の1のたった200巣ほどしかありません。オサガメがなぜ減少したかを、学術的にに調べるのは急務となっています。詳しい内容は次回以降に譲るとして、皆さまにお願いしたいのは、ELNAの会員となっていただき、共に現状を把握しディスカッションを重ねながらオサガメの保全を行っていただきたいという思いからです。