明けましておめでとうございます
年末、年始と、兵庫県西宮の実家に行ってきました。今年は、還暦を2年過ぎ、実社会での自分の足の置き場の小ささに気が付かされます。実家の帰りに出雲大社に詣でてきました。実に不思議なところでした。僕自身はいろいろな宗教に属している人たちとこれまで一緒に仕事をしてきましたが、出雲はそんな宗教観とは全く違った大気の匂いがします。太古の昔の人々の息吹が感じられるようなところです。そんな無限の大気の中で、小さな点としてしか存在しない自分を心でとらえるような感覚です。
昨年は、ELNAとしての意地をかけて行った3年間にわたる関東周辺のストランディング個体の放射能分析、今年はその助成金もなくなり継続調査が危ぶまれています。この調査はなんとしても継続したい。ELNA設立当初からずっと温めてきたサンゴ調査を開始することができました。まだまだ暗中模索ですが、基盤はできつつあります。インドネシアのタイマイ保護事業では、ELNAは自然保護団体になってしまったのかという誤解を受けるほど事業は進展し、しかも繁殖個体増加の要因の検証までできてしまい、困難だけど希望のある展望が開けています。小笠原のアオウミガメの130年間にわたる資源動向のメカニズム解析が始まり、国際舞台へ「小笠原のアオウミガメ シーズンⅠ」として公表し、大きく羽ばたいています。その元となる小笠原のアオウミガメ調査内容は、目を見張るほどの発展を見せています。これまでの卵探しの延長から、現場でものを考える充実した調査が実施されています。パプアのオサガメ繁殖地での混沌としたカオスの世界が広がるばかりですが、オサガメ減少の要因がみえており、それを証明する段階に入っています。このように現場だけを見ても様々なことが交錯して、大きく飛躍した年でした。そして、僕が最も誇りに思うのは、各現場どうしの関連をみんなが理解し始めたことです。そのつながりの元となっているのは、僕が思うに「ELNAには夢がある」と、いうことです。それぞれの夢や思いを持って、みんなが取り組んできた結果がこうして表れているのだと思います。横浜に4名、小笠原に4名、たった8名でよくここまで来られたものだと、我ながら感心もしています。
これらのことをやってこられたのは、時代の流れもあります。ここ数年、多くの個人や団体の方のサポートがELNAの運営の潤滑油となっています。一昨年の認定NPOの承認が大きなきっかけとなりました。ネット寄付や助成金、ELNAファンや会員の意識、その思いがウミガメを通してつながっているのが感じられます。これからも、ELNAの行先をずっと見続けてもらいたい。そして、多くの方にELNAの存在をしってもらい、やろうとしている内容に協賛してもらいたいと思っています。今年は、それぞれの思いをさらに昇華させ、ELNAをしっかりとした組織にしていきます。これまでの古びたELNAの原動力としてのエンジンの使い道を考え、各自が持っている新しい原動力の力を発揮できるように、組織の改変をしようと考えています。老骨にムチ打つような努力は毛頭するつもりもありませんが、手綱はそろそろ手放そうかと思っています。