大学生のカメ漬け実習ライフ!ウミガメ漂着個体と海洋ゴミ

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みなさんこんにちは。横浜事務所にて実習中、大学二年生の木村莉子です。小笠原へ旅立つ前に、横浜事務所にてウミガメ保全に携わる機会を設けていただきました!

実習生はどのような業務を体験しているのでしょうか?紹介していきます。

先月のブログではスタッフさんが研修二日目にしてカメの解剖をされたと記載がありましたが…私の場合は、なんと初日から解剖に参加させてもらうことができました!!

ご担当いただくスタッフさんと合流、「初めまして!」の挨拶をすると、すぐに茨城県神栖市の漂着調査に出かけます。

なんて綺麗なビーチ…!と言いたいところですが、見渡す限りゴミばかり。

今まで海にゴミが浮いている写真を見ては世界のどこかの写真だろうと他人事のように考えていましたが、案外身近なところにまで海ゴミは迫ってきていることを実感しました。遠くにはゴミ処理作業中のショベルカーも見えました。

ブイやペットボトルがたくさん漂着しています。外国からたどり着いたと思しき漂着物も見かけました。一つひとつのゴミにストーリーが詰まっていると思うとロマンを感じます。

漁業に使用したと思われるネットやロープも流れ着いていました。

そしてゴミに埋もれる漂着ガメを探すこと数時間、今回の調査では3頭のウミガメを発見しました!

発見したカメの中で最も大きかったアカウミガメです。甲羅は80cmを超える大きさでしたが、このサイズでも未成熟でした。

死んで漂着し、手足がミイラ化してもなおブイやペットボトルに囲まれる、こんなにも無残な姿はあるでしょうか。

甲羅のサイズを必死に測っています。この大きさだとひとりで動かすことは難しく、スタッフさんと二人がかりで解剖を行いました。

解剖はお腹を切るところから始まります。こちらは未成熟のアオウミガメでした。

アオウミガメのお腹からは膜状のプラスチック・発泡スチロール・化学繊維が出てきました。プラスチック誤食も海岸の漂着ゴミと同様、私にとっては教科書の中の世界でしたが、実習を通し現状を肌身で感じることができました。

しかしながら、後日の実習ではさらなる衝撃を受けることになります。次に私が実習を行ったのは、ウミガメの体内から出てきた人工物の重量計測です。

次に私が実習を行ったのは、ウミガメの体内から出てきた人工物の重量計測です。こちらの写真をご覧ください。

一頭のアオウミガメのお腹の中から出てきたプラスチックゴミです。その重さ67g!!主に丸まったプラスチック袋類が入っていました。

さらには目を疑うほど大きく太い針も。

延縄漁で使う針だそうで、ウミガメ発見時に食道に引っかかっていたそうです。

また、中には世界の海ゴミのサラダボウルとも言える個体もいました。

ハングルが書かれた包装・フィリピンの国名が書かれたプラスチック・中国語らしき漢字が印刷された包装・そして日本語が書かれたお菓子のゴミ……世界の様々な地域で捨てられたプラスチックゴミがたった一頭のウミガメの体内から出てきました。海洋プラスチック問題は一国の努力のみでは決して解決に繋がらないということを痛感させてくれた個体でした。

最後に体験した業務はタイマイの骨格標本作成です。スタッフの皆さんが「ジュンタイちゃん」と呼び可愛がっていたカメの頭を容赦なく煮ていきます!

しかし、煮込み始めること数分、スタッフさんより「カメ臭い。」とのお言葉が…!大丈夫です!口で息していればへっちゃらです!

しかし骨格標本作り、意外と難しいんですね。一生懸命に肉を取り除こうとしているとあっけなく折れてしまいました。

二日間ポリデントに浸し、パズルのように組み立てると…

完成です!!立派な骨格標本が出来上がりました。タイマイもなんだか誇らしげな顔をしています。

以上、漂着ウミガメの解剖調査・ウミガメ体内のプラスチック量計測・骨格標本作成と、実にバラエティー豊かで心震える実習経験をすることができました。受け入れてくださったスタッフの方々には感謝の気持ちでいっぱいです。

実習を通し学んだのは、どんなにひどい状況であっても見慣れてしまうことの恐ろしさです。何十匹ものウミガメの体内プラスチックゴミを計測していると、時に一桁台のサンプルを見て「おっ、少ない。このカメはラッキーだったなあ」と思ってしまうことがあります。けれど、プラスチックって本当は1ミリグラムたりともウミガメの体内に存在してはいけないはずの物なんですよね。そうして人々の感覚が麻痺して海に浮かぶゴミの量がどんどん増えていく、そんな未来は作ってはいけないと感じました。

私のウミガメライフはまだ始まったばかり!

次はアオウミガメ繁殖の本場・小笠原父島にて、生きているウミガメ相手にたくさんのことを学んできます。

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