2020年のウミガメのストランディング調査~海洋ゴミの誤食~

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ELNAでは、ウミガメ漂着個体の調査(ストランディング調査)をしています。通年をとおして行っていますが、ピークは夏~秋です。

今年も5月後半から、たくさんの情報が寄せられるようになりました。雨が多く、レインコートを使用する頻度も高いこの頃です。

2020年はのべ90回スタッフが出動をしており、約140頭ほど調査をしました(1度に複数頭調査をすることもあるため)。神奈川県横浜市と千葉県館山市からスタッフが出動しています。死因も調べています。たとえば、溺死とわかる個体もいましたが、多くは解剖時の目視だけでは判別するのが難しいです。明らかに臓器に異常があるものは、サンプルとして一部を採取し、専門の方に詳しく検査してもらったりもします。

地球環境基金さんの助成を受けて、ウミガメによる海洋ゴミの誤食の調査もしています。助成金を受けての調査も3年目、最後の年となりました。

2020年の関東のストランディング調査で誤食している個体は約6割でした。2019年の調査とおおよそ同じ割合でした。6割ということで、多くのウミガメがゴミを食べてしまっています。
ただ、この6割には、フィルム1枚食べていたような個体も含まれています。たくさん食べていたのは数頭(それでもお腹パンパンではない)。それ以外は少量を摂取していたというところでした。ゴミを摂取していた個体の臓器に目に見える異状は見られませんでした。

マイクロプラスチックの摂取状況は専門家に分析を依頼し、調査しました。15頭分のウミガメのフンを採取し、フンの中にマイクロプラスチックが含まれているのか調べました。肉眼で見ると、ゴミがあるかどうかはわからないのですが、分析の結果、15/15頭からマイクロプラスチックが検出されました。多くのウミガメがプラスチックを体内に取り込んでしまっている現状がわかりました。2019年は10/10頭だったので、今のところ、分析した全ての個体からマイクロプラスチックが検出されたことになります。

小笠原海洋センタースタッフが大学の研究室とマイクロプラスチックに関する共同研究もしています。

海洋ゴミ問題が深刻になっている昨今。ウミガメと海洋ゴミの関係について、これからも引き続き調査していきたいと思います。

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