春はクジラシーズン!個体識別調査
小笠原海洋センターはウミガメのイメージがありますが、春に小笠原諸島近海に出産や子育てのために来遊するザトウクジラの調査もおこなっています。
ザトウクジラは尾びれの黒白模様や傷が一頭ごとに違います。模様を調べることで、個体識別することができます。
過去のデータとマッチング(照合)することで、回遊パターン、個体数などがわかります。
他の地域のザトウクジラとマッチングすれば、例えばアラスカから移動して来たなど、どれぐらいの距離を泳いだかがわかります。また、ザトウクジラの親子で写真が撮れたら、ザトウクジラの家系図もわかってきます。
海の生き物というのは、その暮らしを直接見ることはとても難しいです。まだまだその生態は未知な部分が多いザトウクジラ。個体識別の調査をすることで、その解明につながります!
実際の調査の様子をご紹介します・・・!
調査の様子ですが、調査時間は朝9:30~15:00など一日がかりの時もあれば半日の時もあります。調査現場までは船で15分もあれば到着します。望遠用のカメラをスタンバイして、シャッターチャンスを待ちます。狙うはクジラの尾びれ!
海上では、ずつと同じ場所にいるわけではなく、場所を変えていきます。1度の調査で20-30頭ぐらいの個体を確認できます。尾びれを見せてくれない個体もいますし、全部の個体を追えるわけではないので、尾びれを撮影できるのは10頭ほどです。
ザトウクジラが現れると、ゆっくり近づきます。近づき過ぎないように、ザトウクジラから100m以上間を空けて、尾びれを撮影します。
海上での調査終了後は、集めたデータを海洋センターの事務所で入力します。
調査は大変なこともあります。ザトウクジラが親子でいると、子どもが遊んでいて、親クジラがなかなか尾びれをあげてくれないこともあります。また、調査中はずっと船の上。船酔いに苦しむこともありますし、船上ではトイレがなかなか難しいなどあります。しかし、生態解明につながる調査ですし、ザトウクジラの迫力、その神秘的な姿は見る者の心を揺さぶります!
2021年から小笠原海洋センターでは、来島者の方向けにクジラ教室を開始しました。ザトウクジラのこと、調査のあんな話やこんな話や、いろいろとお話しますよ♪クジラシーズンに合わせて開催は1月~4月となっていますので、機会がございましたらぜひご参加ください→詳細はコチラ