学生さんのインドネシア調査同行記(明さん)

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ELNAでは人材育成事業の一環として、海洋生物調査や保全に関心のある学生さん等へのサポートをおこなっています。
先日、インドネシア調査に同行した学生さん(東京海洋大学うみがめ研究会所属の明さん)より、感想を寄稿していただいたので紹介します。
彼女にとっては今回2度目のインドネシアへの調査同行でした

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インドネシアの感想

東京海洋大学うみがめ研究会に所属している明澪緑葉(あきら れみは)と申します。

今年の6月に西パプアのオサガメ調査に参加させていただき、数々の経験を得ることができました。
日本では見ることの叶わないオサガメの産卵を見ることができた感動、砂浜にずらっと残るウミガメの足跡を辿り歩いた日々、照りつける太陽の熱気や、バケツをひっくり返したように降る大雨、美しかった海岸の夕日、ジャカルタの喧騒と溢れる活気など、培った様々な思い出が忘れられず、2度目のインドネシア調査に同行いたしました。

今回は、カリムンジャワ島でウミガメ保全活動を行っている団体について、保全の目的や方法を直接取材する、という、前回の産卵調査とはまた違った内容でした。

小笠原諸島父島でのウミガメ調査には参加したことがあったのですが、他の、それも海外の団体の取り組みを見るのは初の経験でした。3年間のうみがめ研究会の活動を通して、ウミガメの生態を学ぶ機会はありましたが、ウミガメの保全や、ウミガメと人とのかかわりについてもっと知りたいと考えていた私にとってはまたとない機会でした。
「せっかく行くんだし、明さんも何か質問してみない?」という、ELNA職員さんの言葉も後押しになり、私も自分自身で興味を持ったことを質問事項にまとめて、インタビューをしてみることにしました。

カリムンジャワ島でウミガメの保全活動を行っているのは、国立公園の職員の方々です。そこでは、諸島内で産卵された卵を1か所に移植し、孵化ガメを放流していました。

光害などやむを得ない事情がない限りは移植しないELNAとは違った保全方法です。面白いのは、その活動に、現地で漁をしている人々が卵の移植を手伝っていることでした。卵を盗まれること(=盗掘)の絶えない島で、気候や海の環境を知り尽くし現地のウミガメの産卵状況にも詳しい漁師さんが協力することで、盗掘の被害を減らす、というのは良いアイデアだと思いました。現地の人も保全活動に関わる、という点においてはELNAのオサガメやタイマイ保全活動に近いものも感じました。
このように、私が今まで日本で関わってきたウミガメ保全と違っていたり共通していたりする部分を上手くまとめて、そこから見える、取材相手の活動の目的や理念を明らかにするような、そんなインタビューができればと考えていました。

その目的に立ちはだかったのは、言語の壁です。
英語で話すのもおぼつかない私が、現地の人々とコミュニケーションがとれるのか、という不安がありましたし、そもそもインドネシアの人で英語も話す方というのは珍しいため、ほとんどの会話がインドネシア語になります。なじみのない言語で準備もせずに質問してしまっては、相手に伝わるはずがありません。下手をすると何も得られないまま、日本に帰国してしまう可能性もあります。そのため、「どのように聞いたら自分の知りたい情報を知ることができるか」をよく考えました。

結局、インドネシア語で質問するときは、私を調査に連れて行ってくださった井ノ口さんが訳してくださり、大変助けていただきました。ありがたいという気持ち反面、申し訳なさや自分で考えや気持ちを伝えられないもどかしさも芽生えました。国立公園の管理の責任者の方や、実際にウミガメ調査、保全を行っている職員さん、ウミガメの卵の移植をしている漁師さんと、様々な立場の人にお話を伺うことができましたが、初対面にも関わらず、どの方も気さくに、詳細な話を聞かせてくれ、活動に携わる上での思いもたくさん知ることができました。
調査の中で、現地の方々と同じ食卓を囲んだり島の中を歩き回ったり、ボートやバイクに乗せてもらったりした中で、インドネシア語を教えてもらったのも良い思い出です。

こうした日々を通して、もっと自分でインドネシア語を話してコミュニケーションをしたいという気持ちもつのりました。実際に現地に行って取材してみなければこのようには感じなかったでしょう。インドネシアのウミガメのことをもっとよく知れただけでなく、インドネシアの人々とウミガメのつながりを間近で見ることができ、行った甲斐があったと思えました。

最後になりますが、調査に同行させていただいただけでなく、取材をする時間や場を設けてくださり、言葉の訳までしていただいたELNAの井ノ口さん、現地パートナー団体YPLIスタッフのジャマールさんに厚く御礼申し上げます。また、インタビューに快く答えてくださった現地の方々、本当にありがとうございました。この貴重な経験と、得られた感動は、忘れることが無いと思います。これからの自分自身の人生の糧にしていきたいです。

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