子ガメの放流会の問題点とは?
皆さんは“ウミガメの子ガメの放流会”をご存知でしょうか?参加者を集めて、生まれた子ガメを人間の手で海へかえすイベントです。ウミガメ保全活動として各地で開催されているこの放流会・・・
実は・・・問題点があるのです!
その問題点の前に、ふ化後の子ガメの生態について少しご説明します。
◆子ガメのふ化
子ガメは土の中で生まれ、数日から1週間ほどで地上に出てきます。ここから海を目指していきます!
海に入った子ガメはフレンジーという狂乱状態でとても元気いっぱい!このパワーでエサの豊富な沖へと泳いでいきます。
◆放流会が子ガメに与える影響
さて、子ガメの放流会は、子ガメにどんな影響を与えるのでしょうか。
子ガメはお腹の中に卵黄という栄養袋をもって生まれてきます。子ガメが卵黄で生きられるのは、約2週間!
しかし、放流会は日程があらかじめ決められていることが多く、ふ化した子ガメは放流会まで待たされます。その間に卵黄の栄養をどんどん消費してしまい、エサの豊富な沖にたどりつける可能性が減ってしまいます。
また、啓発目的で放流会が日中に行われると、敵に見つかりやすいですし、暑さで体力を消耗してしまいます。
・・などの理由により、ウミガメを保全目的で開催された放流会が、子ガメの命を危険にさらすこともあるのです!
◆海洋センターでの放流会
小笠原海洋センター(小笠原事業所)でも子ガメの放流会をおこなっています。というのも、大村海岸には光害の問題があるからです。
この光害からウミガメを守るために、ふ化直前の卵を海洋センターに移植しています。そして、子ガメがその日たまたま生まれていれば、放流をするので、そこに立ち会えるようにしています。
※ある日の海洋センター:光害により子ガメ達は街に向かってしまうことも・・・(スタッフが網を片手に子ガメを救出にいきました)。
間違った放流会は、子ガメにとって悪影響となってしまいます(もちろん、放流会に参加されている方は、ウミガメの保全になると思って来てくださっているのですが・・・!)
間違った保全活動が行われないように、ウミガメへの影響を明確に証明するべく調査、研究を行い、ELNAは保全活動を続けていきます!
横浜事業所 岩井